Your friend
アイシーイー

「いつか氷河期が来て地球が凍るそうよ」
「は?」
汗がまるで滝のように流れる放課後、蓉子が呟いた言葉に、
私は間の抜けた返事を返すことぐらいしか出来なかった。
暑さのせいで頭でもおかしくなったのだろうか。
それとも地球がそうなって欲しいというある種の希望か。
「まあ人類が生まれたのも偶然に偶然が重なってるわけだし、いつ滅んでも
あかしくはないわよね」
何故だか少し嬉しそうに話す蓉子の意図が分からない。
私が相当狐につままれたような顔をしていたのだろうか、蓉子は更に
楽しそうな顔をして私の顔を覗き込んできた。
「なんて顔してるのよ?」
「・・・意図が読めない」
「意図?」
「蓉子が暑さでおかしくなったかどうか知らないけどいきなり地球の
歴史云々について語りだした事についての!」
暑さでイライラしていたのは私の方で、至近距離に顔があるというのに
声を張り上げてしまった。
やはり少しうるさかったのだろうか、耳を塞いだりまではしないものの、
蓉子は眉をしかめて顔を遠ざけた。
「・・・暑いから」
蓉子が小さく呟いたかと思うと、いきなり私の首に柔らかく腕が巻きついてくる。
さっき顔を近づけられたときには何も思わなかったというのに、
首に触れるいい匂いのする黒髪だとか体の熱さと柔らかさがあいまって、
頭がぼっとした。
「・・・自分で暑いとか言っておきながら・・・」
「・・・じゃあ離れて欲しいの?」
私は蓉子の言葉には答えず、首に巻きついていた腕をそっと外すと
椅子から立ち上がった。
やりかけの書類をまとめて、鞄に入れる。
その様子を見た蓉子が私の腕を掴んだ。
「・・・怒った?」
これにも答えず、私は椅子をいれていつものビスケット扉の方へと向かった。
それに続くように、背後で蓉子がぱたぱたと忙しそうに帰る準備をし始める。
ドアノブに手を掛けて部屋から出た途端、私は何かに躓いてしまった。
重力に従い、地面に吸いつけられていく。
と、私が床と激しいキスをしてしまう寸前で、腰に衝撃が来た。
あと少し、というところで抱きかかえられる形になる。
「大丈夫・・・?」
息を切らした声に私は返事もなくゆっくりと振り返った。
頬を紅潮させた顔と心配するような目。
それを見たらどうしようもなくなって、蓉子の髪に指を通して
額に唇で触れた。
ぴりぴりというやるせない感覚が体を支配する。
そしてさっき触れていたかった分まで抱き締める。
高い体温同士でそうしていたら、一人でいる時より余計に
汗をかいた。
「江利子の負けね」
「・・・・・・」
「敗者は勝者の言う事を聞かなきゃ」
言うと蓉子は私に頬擦りをしてきた。
キスよりもこっちのほうがこたえる。
「・・・っ」
自分でも顔が熱くなるのが分かった。
「暑い?」


世界なんて今すぐ凍ってしまえ。
あとがき
よっす!オラ恥ずい。
恥ずかしさ130割増しですよ、ええ。
今まで描いた中で一番これがいちゃ×2してる気がしますですよ。
七先さんが蓉江利好きだと言っていたので勝手に書いちゃいました!(迷惑)
梅雨が無かったからたぶん今年はカメムシが大量発生するよ。
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