Your friend
Don't play cold

白い天井を見ながら、何故こんな事になってしまったのか考える。
頭はズキズキと痛み、景色が回って見えた。
保健室。苦手だ。
白いカーテンに隔てられた世界。周りと関わりのない世界。
「38度・・・7分!?どうしてこんなになるまでほっといたの」
「すいません・・・」
私は”保健室に来たくなかった”という内心を隠して言った。
保健室の先生が嫌いなわけではない。
この空間が嫌いなだけで。
「この位なら大丈夫・・・かな、て」
「・・・わかったわ。一人で帰れる?」
「はい、大丈夫です」
私は上体を起こしながら笑う。
実際は立つと足がよろめいて大丈夫ではなかったけれど
ずっとこの場に居るのが嫌で、虚勢を張った。
近くにかけてあった通学カバンを手に取り、先生にお礼を言って
保健室を出た。
お大事に。
そんな言葉を背中に受けながら、フラフラと廊下を歩いた。
やっとのことで下足室に辿り着いて、黒いバレエシューズを
ひっかけ校舎を出ても、今自分が何処を歩いているのか
さえも分からない。
そのせいで、マリア様にお祈りするのも忘れそうに
なってしまった。
「いけない・・・」
呟いて、ゆっくりと手を合わせる。
マリア様、体の不調をお治しください。
今はその効果が現れなくとも、きっと良くなるだろうと
他力本願な事を考えてその場を後にした。
あれ?
地面が近くに見える。
ささくれだったアスファルトの表面が、スローモーションで
近づいてくる。
もう受身を取る気力もなく、そのまま顔から倒れようとしたとき
誰かの足音が大きく響いた。
「祐巳ちゃん!!!」
地面へ向かい加速中だった私の体は
ふわりと柔らかい腕に抱きとめられた。
顔を上げてその人の顔を見たら、急に力が抜けてしまった。


「・・・ちゃん、祐巳ちゃん」
聞き覚えのある声が私を呼んで、重いまぶたが少し開いた。
ぼやけた輪郭がはっきりし始める。
「せ・・・さま?」
冷たい手が額に当てられて心地良い。
「良かった・・・熱は少し下がったみたいだね」
「あ・ありがとうございます」
言ってから疑問に思ったけれど、ここは何処だろう。
見たところ絶対保健室ではないしーーーーーー・・・。
でも見覚えがある。
まさか。
「聖さま、ここってもしかして・・・」
「あ?あぁ、加藤さんちだよ」
彼女の家は学園から近いし、ありえる事だろうけど
加藤さんの姿はここには無かった。
「でも・・・加藤さんはどちらに」
「いないよ」
どきっぱり言う聖さまに、私は思わず叫んでしまった。
「いない・・・って、不法侵入じゃないですか!?」
「だって祐巳ちゃんが大変だったし」
「う・・・」
以前にもこんな会話をしたことがあるような気が。
「でも驚いたよ。祐巳ちゃん見つけたと思ったら、すぐ倒れちゃったんだもん」
「・・・すいません」
謝ると、聖様は私の頭に手を置いて、少し荒く撫でてくれた。
「謝らないの。でも無理はしちゃいけないよ」
「はい・・・」
話をしていたら、頭を急に痛みが襲った。
「痛・・・・・・」
私は起こしていた上体を倒した。
勝手に敷かれていた布団が音を立てる。
痛む頭をしばらく手で押さえていたら、急に聖さまが
私の手を握った。
冷たくて、私は温めるつもりで握り返した。
そして聖様の顔が近づいてきて、唇に柔らかい感触。
息が続く限りずっとそうしていたから、終わった後に
心臓がばくばくと音を立てた。
「っ・・・はぁ」
それを何回も繰り返そうとする聖さまを、私は止めに入った。
力が入らない手で聖さまの顔を押しやる。
「だ・・・だめです。聖さま、カゼうつっちゃう・・・」
「うつしなさい」
熱のせいで全く力が入らない手では、止めるどころか物を掴む
事さえできなかった。
聖さまの顔が再び近づいてきて、あと少し、というところで
ふすまが大きな音をたてて開いた。
そこには呆れて物も言えないと言ったような顔の、眼鏡の女性。
「さ・・・佐藤さん何やってるの!!!」
「・・・『二人とも何やってるの』じゃないんだ」
「当たり前でしょ、全く・・・狼みたいなんだから」
聖さまは加藤さんに襟首を掴まれ激しく振られ、
観念したように私の手を離した。
冷たい温もりが名残惜しかったけれど、しょうがないかなって
私は笑った。
熱もだいぶひいてーーーーーー・・・
くしゅん。
誰かがくしゃみを一つ。
少なくとも私じゃない。
その音をたどると、聖さまが鼻を押さえて苦笑していた。

「あれ?」
あとがき
遅くナッツすいませんクアー!!!(錯乱状態)
ていうかこんな粗品読む人が居るのかどうか疑問ですが
ごめんなさい。
くさいし。でも風邪をうつすシチュは好きです。
加東さんも。今日は原稿大変でした。
手がインクだらけハッハッハァ!
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